イガクムラ

 
内海聡氏 顔本より
 
以下転載
 
医学不要論より抜粋

この著書を書いているのは2013年初春であり、日本において放射能の問題がずっと物議を醸してから久しい時代である。その日本においては放射能業界の構造を「原子力ムラ」と皮肉って、構造批判する流れが続いている。私はせっかくだからその概念を利用させてもらって、イガクムラという言葉を作ることにした。これはネットなどの情報網を見ても明らかなる言葉としては普及していないようで、ありそうなのになかったというモノの代表格かもしれない。

このイガクムラという構造は、知っている人ならだれでも知っているモノであり、取り立てて難しいモノでもない。イガクムラを作っている連中とは、厚生労働省、医師会、各学会、病院協会、製薬会社、患者会、家族会、病気啓蒙を行う慈善団体、NPO法人、人権団体、医療ジャーナリスト、医学雑誌社、などであろう。この本はこれらのすべてを根底から批判しているのだから、どれだけこれらの利権集団からクレームが来るのか想像に難くない。そしてどれだけクレームが来てもこの本は売れ続けるだろう、人々は治らないことに困っているから。
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もうこのような構造と利権とカネ作りはやめにしないか?本質的に嘘のない医学世界を作ろうとしないか?それがこの医学不要論の本質であろうと思う。この医学不要論の中にはまだ科学的に証明されていないことも含まれているが、嘘を書いているつもりはさらさらない。別に私は人々が望むのであれば、医療という行為によって稼ぐなとは言っているわけではないのだ。原子力ムラへの批判が原発のような危険な方法によって、電気やカネを生み出すのはもうやめようと言っているのと同じように、イガクムラも一度完全に解体してしまって、真に価値のある医学、真の治す医学者に大家として収入が得られるように、すべての構造改革を行おうと唱えているのである。これを人助けだからボランティアでやれみたいな意見は私の中には存在しない。それは患者側の単なる権利欲の肥大化である。

ここでイガクムラにおいての典型的な話を二つ紹介しよう。この話は両方とも私の知人達の経験談である。その名前をここではお示ししないが、必要になった時はその名前を出すことは問題ない方々である。

ある医師ではない学者が医学シンポジウムで、医学とは一味違う代謝や免疫についての講演をしたそうだ。その理論は通常の医学者だととても理解できないくらい難しいものだった。教授だろうが助教授だろうがとても理解できるレベルでなく、しかも西洋医学の生理理論や薬理理論を明確に否定しているのと変わらないレベルであった。もちろんその理論は現代科学(現代医学ではなく)において証明された真実ばかりである。ここで医者たちのとる行動が面白い。そのエラ~イ医者たちはその学者の講演時間が半分も残っているのに、無理やり打ち切りにしてしまった。自分たちがバカであることを指摘されるのが耐えられなかったのだろう。

ある別の医学者(こちらは医師)は小児科の学会に乗り込んだそうだ。そしてインフルエンザワクチンやタミフルに関して、非常に科学的で興味深い質問をいくつかした。そうするとここでも似たような反応がおこった。通常学会は質問自由であり議論してこそ成り立つものだが、座長はその質問を最後に至る前にさえぎり、答える必要はないといったそうだ。当然答えられないのだからその反応は当たり前だが、その時の他の医者たちの反応がすごい。その場に集っている小児科医が満場一致で、座長の判断に大拍手したのである!医者という人種は、治すためとか真実を追求するために存在しているのではないのだと、骨身に染みる話である。

これがイガクムラに実態であり、このイガクムラに自浄作用などというものは存在しない。とにかく、あらゆる人々、それこそ医療関係者であっても、この構造の根本的矛盾と嘘をつくことの背景を知る必要があるのだ。